たくさん遊んで　美味しく食べて、ぐっすり眠って。
いっぱい笑って　思いきり泣いて、そうして生きて、生きて、生きて…
　あの日、君は生まれて初めての残酷な別れを経験したね。あんなに打ち拉がれる
君を見たのは始めてだった。開け放していた心の柔らかいところを傷つけられた君
は、堅く心を閉ざしてしまって僕らの『想い』をなかなか思い出してはくれなかっ
た。聴こえないのは分かっていたけど、僕は君に何度も話しかけていたんだよ。
　君は真面目すぎるって。もっと泣いていいんだ。もっと怒っていい。我慢しなく
ていいから、今は心を閉ざさないでって。
「良い子でいたってできることは限られてるんだから、少しは羽目を外した方が可
能性は広がるってモンでしょ。ちょっとくらいの失敗は、未来の成功で取り返せば
いいわけだし。『何をしたらいいかわからない』なんて考えてても始まらないぢゃ
ない。何でもいい。今一番したいコトは？　絵を描いたって、唄ったって踊ったっ
て…、え？　洗濯？　いいよ。何でも。とにかく全力でそれに取り組んで。しばら
くは他のコトほっといていいから。なりふりかまわずやってみて。後のことは、そ
れから考えればいいぢゃない。」
　君の心に届いたのは、誰かの言葉だったか何かの文章だったか、たくさん種を蒔
いたから分からないけど、とにかく君は気付いてくれた。僕は信じていたよ。君の
本能には僕らの『想い』が刻まれているんだから。
　
　何か一つのことをやり遂げたら、次の何かが見えて来るって、
　あの夜僕が放った君の希望を、また君は一つ捕まえたね。
　大切なのは、君が何をしたいのか知ること。始まりはいつもそこから。

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